【確定】2026年(令和8年)人事院勧告の中身——月例給+3.51%・1万5,056円、ボーナスは年4.70月へ。モデル給与例でわかる「自分はいくら増えるか」

2026年8月7日、令和8年の人事院勧告が実施されました。官民較差は1万5,056円(3.51%)、行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%、ボーナスは年4.65月分から4.70月分へ0.05月分の引き上げ。月例給・ボーナスとも令和4年から5年連続のプラスで、行(一)職員の平均年間給与は26.6万円(3.7%)増える計算です。今年は昨年の若年層重点から一転して中堅層以上を手厚くしたのが特徴で、初任給は一律9,500円引き上げ(一般職大卒24万1,500円・高卒20万9,800円)。さらに転居を伴う転勤者への手当の新設(令和9年4月)と広域異動手当の引き上げ(5%→8%・10%→16%)も盛り込まれました。30代地方公務員のヒロが、人事院の公表資料にある「モデル給与例」をもとに、年齢・役職別に年間給与がいくら増えるのか、手取りではどのくらいかを整理し、地方公務員に届くまでの流れ(人事委員会勧告→条例改正→年内の差額支給)までまとめます。
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1. 【確定】令和8年の人事院勧告——月例給+3.51%、ボーナスは年4.70月分へ
結論から書きます。2026年8月7日、令和8年の人事院勧告が実施されました。長らく「見込み」で語られていた数字が、公式の確定値になりました。
- 月例給:官民較差1万5,056円(3.51%)を解消するための改定。行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%
- 人事院は、モデル試算した定期昇給分を加えると月収で約4.9%の給与改善になるとしています
- ボーナス:年間4.65月分 → 4.70月分(+0.05月分)。期末手当・勤勉手当に0.025月分ずつ均等に配分
- 初任給:総合職・一般職ともに一律9,500円の引き上げ
- 実施時期:俸給・ボーナス・広域異動手当は令和8年4月にさかのぼって実施
- 月例給・ボーナスとも令和4年から5年連続のプラス。行(一)職員の平均年間給与は26.6万円(3.7%)増

30代・地方公務員のヒロです。
実家暮らし・新NISA満額・楽天経済圏で、地味だけど堅実に資産形成しています。
夏のボーナス(6/30支給済み)が一段落したところに、本丸の人事院勧告が来ました。見出しの「3.51%」だけだと自分ごとになりにくいので、この記事では人事院が公表しているモデル給与例を使って、「年齢・役職ごとに年間でいくら増えるのか」まで落とし込んでいきます。
数字だけ見ると「昨年(3.62%)より率は下がった」と読めますが、金額で見ると1万5,014円 → 1万5,056円でわずかに上回っています。率が下がったのは、比較の土台になる給与水準そのものが上がったためです。「去年より悪くなった」という話ではないことは、最初に押さえておきたいところです。
- 令和8年勧告の確定した数字(較差・級別の改定率・初任給・ボーナス月数)の全体像
- 人事院のモデル給与例で見る、年齢・役職別の「年間給与がいくら増えるか」
- ボーナスが令和8年度は12月期だけで調整される理由と、その中身
- 転居に関する手当の新設・広域異動手当の引き上げなど、月例給以外の改定
- 地方公務員の給料はいつ・どう変わるのか(人事委員会勧告→条例改正→年内の差額支給)
- 増えた分は手取りでいくら残るのかの目安と、生活水準に溶かさないための3ステップ
※ 本文中の数字は、人事院「令和8年人事院勧告」の公表資料(勧告・報告、本年の給与勧告のポイント)に基づいています。
2. 数字の全体像——較差の中身と、今年は「中堅層以上」が厚い
官民較差1万5,056円(3.51%)はどう出てきたか
人事院は毎年、国と民間の常勤職員について、役職・勤務地域・学歴・年齢といった主な給与決定要素をそろえて給与水準を比べます(ラスパイレス方式)。令和8年4月分の比較結果は次のとおりです。
| 区分 | 1人当たりの給与額(令和8年4月分) |
|---|---|
| 民間 | 443,507円 |
| 国(行政職俸給表(一)) | 428,451円 |
| 較差 | 15,056円(3.51%) |
この較差を解消するための改定内容が、今回の勧告です。較差の内訳は、俸給11,179円/広域異動手当2,376円/はね返り分(俸給の改定による諸手当の増減)1,501円とされています。つまり今年は「俸給表そのもの」だけでなく、広域異動手当の引き上げが較差解消の一部を担っているのが特徴です。
級によって改定率が違う——今年は中堅層以上を上乗せ
行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%ですが、一律ではありません。
| 級 | 改定率 | だいたいの職位イメージ |
|---|---|---|
| 1級 | 4.0% | 係員(採用直後〜若手) |
| 2級 | 3.6% | 係員(経験を積んだ層) |
| 3級 | 3.4% | 主任・係長級 |
| 4級 | 3.1% | 係長級 |
| 5〜10級 | 3.0% | 課長補佐級〜本府省課長級など |
| 全体 | 3.3% | 行政職俸給表(一)の平均 |
率だけ見ると1級がいちばん高いのですが、人事院は今回、**「業務遂行において重要な役割を担っている中堅層以上の職員について令和7年を上回る改定」**という説明をしています。昨年が若年層に重点を置いた改定だったのに対し、今年は中堅層以上を昨年より手厚くした、という位置づけです。

ここ、去年との一番の違い。
去年は「初任給を大きく上げて若手を確保する」年だった。今年も初任給は上げつつ、去年あまり動かなかった中堅以上に厚めに配ったという整理なんだよね。
係長・課長補佐あたりの人は、去年「うちは薄いな」と感じたかもしれないけど、今年は率の絶対値より去年比でどうかで見ると納得しやすいと思う。
初任給は一律9,500円アップ
初任給は総合職・一般職ともに一律9,500円の引き上げです。
| 区分 | 改定前 | 改定後 | 引き上げ幅 |
|---|---|---|---|
| 総合職(大卒) | 242,000円 | 251,500円 | +9,500円(+3.9%) |
| 一般職(大卒) | 232,000円 | 241,500円 | +9,500円(+4.1%) |
| 一般職(高卒) | 200,300円 | 209,800円 | +9,500円(+4.7%) |
一般職(大卒)が24万円台に、高卒が21万円目前まで来ました。採用の現場から見ると、民間の初任給引き上げ競争に付いていくための改定という側面が強い部分です。
再任用職員の月例給も改善(平均改定率8.5%)
見落とされやすいところですが、今回は再任用職員の月例給の改善も勧告されています。民間の再雇用者の状況を踏まえ、再任用職員の8割以上を占める係長級の官民給与差をベースに改善するもので、**行政職俸給表(一)全体の平均改定率は8.5%**です。定年前後の働き方を考えている世代にとっては、月例給の3.3%より大きく効く可能性があります。
- 地域手当:給与制度のアップデートで令和7年度から段階的に見直している支給割合について、令和9年度の支給割合を設定
- 非常勤職員:民間の動向を踏まえ、非常勤職員にも扶養手当・住居手当の支給に努めるよう指針に明記(令和8年10月実施)
- 特定任期付職員の勤勉手当:高い成績率を適用可能に(令和9年4月実施)
- 60歳前後の給与水準(給与カーブ):シニア職員の人事管理に関連する制度と一体で検討を加速
- 初任給調整手当・宿日直手当・委員等手当についても、本年の俸給表の改定状況等を踏まえて所要の改定
「扶養手当が見直されるらしい」という話を過去に聞いた人もいると思いますが、今回の勧告に、常勤職員の扶養手当・住居手当そのものの改定は含まれていません。今回入ったのは、非常勤職員への支給に努めるよう指針に明記するという内容です。
一方で、転勤に関する手当は大きく動いています(後述の第5章)。ここを混同しないよう注意してください。
3. 人事院勧告とは?公務員の給料が決まる仕組みを3分でおさらい
若手の人ほど「勧告で給料が変わるのは知ってるけど、仕組みはよく分からない」という人が多いので、まず土台からいきます。
なぜ「勧告」という回りくどい方式なのか
公務員には、ストライキなどの労働基本権に制約があります。民間企業の社員のように「労使交渉で賃上げを勝ち取る」ことができません。
その代償措置として、第三者機関である人事院が毎年、民間企業の給与を調査し、「民間と公務員の給与にこれだけ差があるので、これだけ改定すべきです」と国会と内閣に勧告する——これが人事院勧告の役割です。
- 目的:公務員給与を民間水準に合わせる(民間準拠の原則)
- 根拠データ:毎年4〜6月頃に実施される民間給与実態調査(企業規模100人以上の事業所が対象)
- 比較の方法:役職・勤務地域・学歴・年齢という主な給与決定要素をそろえ、国の人員構成で加重平均するラスパイレス方式。単純な平均の比較ではありません
- 対象:直接の対象は国家公務員。地方公務員は各自治体の人事委員会勧告を経て条例で決定
- 中身:月例給(ベースアップ)と、ボーナス(期末・勤勉手当の支給月数)の2本柱
- 法的拘束力:勧告自体にはないが、例年は勧告どおり(または近い形で)給与法が改正される

ポイントは「公務員の給料は民間の後追いで決まる」ってこと。
だから民間の賃上げが強かった翌年は公務員も上がりやすいし、民間が冷え込めば公務員も下がる。春闘のニュースは、実は公務員の翌年の給料予報でもあるんだよね。
月例給とボーナス、2つのレバーがある
勧告で動くのは大きく2つです。
- 月例給(ベースアップ):俸給表・給料表そのものの引き上げ。毎月の給料が底上げされ、残業代・退職手当などの算定基礎にも効く
- ボーナス(支給月数):期末・勤勉手当の年間支給月数の増減。「0.05月分引き上げ」のような形で示される
このうち効き目が大きいのは月例給です。毎月の手取りが変わるだけでなく、各種手当や将来の年金・退職手当の計算にもじわじわ効いてくるからです。
4. 【この記事の目玉】モデル給与例で見る「自分は年間いくら増えるか」
改定率だけでは、自分の財布がどう変わるのか掴めません。そこで使いたいのが、人事院が勧告資料の中で公表している国家公務員モデル給与例です。年齢・役職ごとに、勧告前と勧告後の月額・年間給与、そして年間給与額の差が公式の数字として並んでいます。
| 組織・役職(年齢) | 月額(勧告前→勧告後) | 年間給与(勧告前→勧告後) | 年間給与額の差 |
|---|---|---|---|
| 地方機関・係員 18歳(高卒初任給) | 200,300円 → 209,800円 | 331.9万円 → 348.7万円 | +16.8万円 |
| 地方機関・係員 22歳(一般職大卒初任給) | 232,000円 → 241,500円 | 384.4万円 → 401.4万円 | +17.0万円 |
| 地方機関・係長 35歳 | 301,600円 → 312,100円 | 506.6万円 → 525.9万円 | +19.3万円 |
| 地方機関・係長 40歳 | 320,600円 → 331,700円 | 538.6万円 → 558.9万円 | +20.3万円 |
| 地方機関・課長 50歳 | 429,800円 → 441,500円 | 708.5万円 → 730.6万円 | +22.1万円 |
| 本府省・係員 22歳(総合職大卒初任給) | 301,200円 → 312,600円 | 494.2万円 → 514.6万円 | +20.4万円 |
| 本府省・係長 28歳 | 355,860円 → 367,740円 | 588.4万円 → 610.2万円 | +21.8万円 |
| 本府省・課長補佐 35歳 | 497,160円 → 512,400円 | 832.0万円 → 861.0万円 | +29.0万円 |
| 本府省・室長 40歳 | 671,720円 → 688,160円 | 1,105.4万円 → 1,138.1万円 | +32.7万円 |
| 本府省・課長 50歳 | 857,720円 → 877,400円 | 1,447.3万円 → 1,488.3万円 | +41.0万円 |
| 全体平均 | 428,451円 → 443,507円 | 712.3万円 → 739.0万円 | +26.7万円 |
- モデル給与例の月額・年間給与は、俸給、地域手当(地方機関は非支給、本府省は20%)、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当を基礎に算出されています
- 地方機関=地域手当が支給されない地方勤務の想定です。地域手当が支給される地域に勤めている場合は、これより上振れします
- 扶養手当・住居手当・通勤手当・超過勤務手当などは含まれていません。実際の年収とは一致しません
- なお、行政職俸給表(一)職員の平均年間給与の増加額は、人事院の別表では**26.6万円(3.7%)**と示されています。上の表の全体平均(+26.7万円)とは算出の基礎が異なります

この表がいちばん実感に近いと思う。
たとえば地方機関の40歳係長で年間+20.3万円、50歳課長で+22.1万円。改定率3.3%と言われるより、こっちのほうが「あ、そのくらいか」と腹落ちするよね。
ぼくら地方公務員が見るべきは、上の表の**「地方機関」の行**。本府省の行は地域手当20%が乗っているので、そのまま自分に当てはめると期待しすぎになる。
自分に近い行を選ぶときのコツ
モデル給与例はあくまでモデルですが、「年齢+役職」で近い行を選ぶだけでも、おおよその増加幅は掴めます。目安として、こんな読み方ができます。
- 20代の係員:年間で17〜20万円前後の増加が目安
- 30代後半〜40代の係長級:年間で19〜21万円前後
- 50代の課長級(地方機関):年間で22万円前後
- 地域手当が支給される地域に勤めていれば、これに地域手当の割合分が上乗せされる
- 逆に、再任用で働いている場合は別枠。行(一)全体の平均改定率8.5%という、より大きな改善が勧告されています
過去11年の推移で見る、いまの位置づけ
人事院は勧告資料の中で、行政職俸給表(一)についての勧告の実施状況も公表しています。数字を並べると、いまがどういう局面かがはっきりします。
| 年 | 官民較差(率・額) | ボーナス年間支給月数 | 平均年間給与の増減 |
|---|---|---|---|
| 令和2年 | — | 4.45月(△0.05月) | △2.1万円(△0.3%) |
| 令和3年 | — | 4.30月(△0.15月) | △6.2万円(△0.9%) |
| 令和4年 | 0.23%・921円 | 4.40月(+0.10月) | +5.5万円(+0.8%) |
| 令和5年 | 0.96%・3,869円 | 4.50月(+0.10月) | +10.5万円(+1.6%) |
| 令和6年 | 2.76%・11,183円 | 4.60月(+0.10月) | +22.8万円(+3.4%) |
| 令和7年 | 3.62%・15,014円 | 4.65月(+0.05月) | +26.3万円(+3.8%) |
| 令和8年 | 3.51%・15,056円 | 4.70月(+0.05月) | +26.6万円(+3.7%) |
コロナ禍の令和2年・3年はボーナスが2年続けて引き下げられ、平均年間給与もマイナスでした。そこから令和4年に転じ、令和8年で5年連続のプラス。しかも令和6年以降は3年続けて年間20万円を超える増加になっています。ここ数年は、公務員の給与にとって明確に追い風の局面と言えます。

令和3年のボーナス△0.15月を経験してる人ほど、いまの流れのありがたさが分かると思う。
ただ、この追い風がいつまでも続く保証はどこにもない。上がっている間に、上がった分の置き場所を決めておく——それがこの記事のいちばん言いたいところです。
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5. ボーナスは「令和8年度は12月期だけ」で調整される
ボーナスの引き上げ幅は、年間4.65月分から4.70月分(+0.05月分)です。民間の支給割合が4.72月だったことを踏まえた水準で、引き上げ分は期末手当と勤勉手当に0.025月分ずつ均等に配分されます。
ここで気をつけたいのが、令和8年度は6月期がすでに支給済みという点です。そのため、令和8年度分は12月期のみで調整される形になります。
| 区分 | 6月期 | 12月期 |
|---|---|---|
| 令和8年度・期末手当 | 1.2625月(支給済み) | 1.2875月(現行1.2625月) |
| 令和8年度・勤勉手当 | 1.0625月(支給済み) | 1.0875月(現行1.0625月) |
| 令和9年度以降・期末手当 | 1.275月 | 1.275月 |
| 令和9年度以降・勤勉手当 | 1.075月 | 1.075月 |
- 数字は一般の職員の場合の支給月数です。役職や職種によって異なります
- 令和8年度の12月期は、6月期に上げられなかった分をまとめて乗せるため、令和9年度以降の各期より月数が大きくなります
- つまり今年の冬のボーナスは、月例給の4月遡及分と合わせて「例年より厚い12月」になりやすい構造です

公務員あるあるなんだけど、12月は「冬のボーナス+4月遡及分の差額」でいつもより振込額が大きくなりやすいんだよね。
今年はそこにボーナスの上げ幅を12月期に寄せた分まで乗る。気が大きくなって使い切るか、淡々と仕分けるかで、年間の貯蓄額がけっこう変わります。
6. 月例給・ボーナス以外の改定——転勤まわりが大きく動いた
今回の勧告で、月例給とボーナスの次に注目されているのが転勤に伴う経済的負担の軽減です。該当する人にとっては、月例給3.3%より効く可能性があります。
転居に関する手当の新設【令和9年4月実施】
転居を伴う転勤に係る経済的負担を軽減し、円滑な人事配置に資することを目的として、単身赴任者に限らず、転居を伴う転勤を行った職員を広く対象とする手当が新設されます。
- 対象:官署を異にする異動を命ぜられ、異動後の官署への通勤が困難であるため、一定距離以上の転居をした職員
- 支給期間:異動から3年間(単身赴任者でやむを得ない場合には3年間を超えて延長可能)
- 手当月額:距離区分に応じて11段階。単身赴任者は1万1,000円〜10万5,000円、単身赴任者以外は6,000円〜4万3,000円
- 人事院の例示では、東京から大阪へ異動する場合の年額が約22万円(単身赴任者は約49万円)
- 実施は令和9年4月。今年度ではありません
これまで単身赴任でなければ支給対象にならなかった層が、新たに対象になるのが最大の変化です。距離区分ごとの手当額や、地方公務員に同じ制度が入るのかどうかは『人事院勧告3.51%は「国だけ」の話——地方公務員の給料が実際に上がるのはいつ?』で詳しく整理しています。
広域異動手当の引き上げ【令和8年4月実施】
広域的な異動に対する給与上のインセンティブを向上させるため、支給割合が引き上げられます。こちらは令和8年4月実施=今回の較差解消の一部として、すでに動いている改定です。
| 距離区分 | 現行 | 改定後 |
|---|---|---|
| 60km以上300km未満 | 5% | 8% |
| 300km以上 | 10% | 16% |
人事院の例示(地域手当の非支給地間で広域異動する地方機関係長の場合)では、年額で60km以上300km未満なら約16万円、300km以上なら約32万円の改善とされています。
そのほかの改定
- 特地勤務手当に準ずる手当【令和9年4月実施】:人口集中地区から離れた場所にある官署について、公共施設等が近隣に所在していても手当の支給対象とできるよう、官署の指定基準を見直し
- 勤務時間・休暇の改定【令和9年4月施行】:全ての職員が事由を問わず年7日取得できる無給休暇を新設(休暇中の給与は支給されません)。日単位でも時間単位でも取得でき、介護に至る前の親の体調変化や、いわゆる「小1の壁」などへの対応が活用イメージとして示されています
- 代休日の指定等の見直し【令和9年4月施行】:休日勤務が1日に満たない場合でも代休日を指定可能に
- フレックスタイム制:1日の最短勤務時間を見直すとともに、コアタイムを設定しないことも可能に
- 本府省幹部職員等の新しい給与体系:事務次官級〜課長級を対象に、俸給表を新設し、業績等手当(ボーナス)・通勤手当・転勤手当を基本とする構成へ。骨格が示された段階で、具体的な内容は令和9年夏に報告される予定です
このうち「業績等手当」については、以前『人事院がボーナスに「業績等手当」新設を検討?』で報道ベースの整理をしていました。今回の勧告で骨格が公式に示された形ですが、対象は本府省の幹部職員等が中心で、具体的な中身は令和9年夏の報告待ちです。
7. 増えた分は「いつ財布に入る」のか——そして地方公務員はどうなる
勧告が出ても、翌月から給料が上がるわけではありません。ここは誤解が多いところなので、流れを整理します。
- 2026年8月7日:人事院勧告。改定率・ボーナスの支給月数が確定値として示される(=ここは完了)
- 秋:政府が勧告の取り扱いを閣議決定 → 給与法改正案を国会へ
- 秋〜冬:給与法改正が成立。今回の改定は令和8年4月にさかのぼって適用される内容です
- 12月頃:4月からの差額が一括支給される(冬のボーナスと同時期になることが多い)
- 令和9年4月以降:転居に関する手当、特地勤務手当に準ずる手当、勤務時間・休暇の改定などが順次実施
| 時期 | 起きること | 財布への影響 |
|---|---|---|
| 2026年8月7日 | 人事院勧告(完了) | この時点では0円。数字が分かった段階 |
| 秋 | 閣議決定・給与法改正案の国会提出 | まだ0円 |
| 秋〜冬 | 給与法改正が成立 | 成立後の給与から新しい水準に |
| 12月頃 | 4月遡及分の差額を一括支給 | ここでまとまった額が入る |
| 令和9年度以降 | 新しい俸給表がベースに/転居に関する手当も開始 | 毎月の給料・手当・ボーナスに継続して反映 |
つまり、勧告からお金が実際に動くまでには4か月前後のタイムラグがあるのが通例です。国会日程などによって時期が前後する点も含め、余裕を持って構えておくのが安全です。
地方公務員はいつ・どう変わるのか(要点だけ)
ぼくも地方公務員なので、いちばん知りたいのはここでした。結論から言うと、人事院勧告がそのまま自分の給料に直結するわけではありませんが、実務上は強く影響します。
- 地方公務員法第24条第2項(均衡の原則):地方公務員の給与は、生計費や、国および他の地方公共団体の職員、民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めることとされています。これが「国の勧告が無視できない」制度上の根拠です
- 人事委員会勧告:都道府県・政令市などに置かれた人事委員会が、その地域の民間給与を調査して独自に勧告します。総務省が示している手順のフロー図では9月に位置づけられています(実際の公表時期は自治体によって前後します)
- 条例改正:勧告を受けて、11〜12月の議会で給与条例が改正されます
- 支給:条例が成立すれば、4月にさかのぼった差額が年内に支給され、ボーナスの月数調整は12月期で行われるのが一般的な流れです
人事委員会はその地域の民間給与を調べて勧告するため、改定率が国の3.51%と一致するとは限りません。級別の配分や実施時期にも自治体差が出ます。
この点は公式文書でも明記されていて、令和7年11月11日付で総務副大臣名により各地方公共団体へ発出された「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」では、**「人事委員会の給与に関する勧告及び報告を踏まえつつ、地域における民間給与等の状況を勘案して適切に対処すること」**とされています。
確実なのは、ご自身の自治体の人事委員会勧告・条例改正・職員団体のお知らせ・給与明細を確認することです。

「国が3.51%だから、うちも3.51%」——これ、けっこうやりがちなんだけど早とちり。
うちの自治体の数字が出るのはだいたい9月ごろ。それまでは「国の勧告と同じ方向・同じくらいの規模になりそう」くらいの温度感で構えておくのが、いちばん外さない見方だと思う。
地方公務員の給料が実際に上がるまでの時系列は、専用の記事で詳しくまとめました。「自分の自治体はいつ動くのか」を知りたい人は『人事院勧告3.51%は「国だけ」の話——地方公務員の給料が実際に上がるのはいつ?』をどうぞ。
8. 額面と手取りは違う——実際に残るのはいくら?
ここまでの数字はすべて額面です。給与が増えれば、所得税・住民税・社会保険料(共済の掛金)も増えるため、手取りの増え方は額面より小さくなります。
- 額面の増加額は、前掲の**モデル給与例の「年間給与額の差」**をそのまま使用
- 手取りは額面増加分の75〜80%程度と仮定(所得税・住民税・社会保険料の増加を見込んだ簡易計算)
- 扶養状況・自治体・共済組合・各種控除によって実際の割合は変わります
- 住民税は前年所得をもとに翌年度課税されるため、手取りへの効き方には時間差があります
| モデル(地方機関) | 年間給与の増加(額面) | 手取り増の目安(年) |
|---|---|---|
| 係員 22歳 | 約17.0万円 | 約12.8〜13.6万円 |
| 係長 35歳 | 約19.3万円 | 約14.5〜15.4万円 |
| 係長 40歳 | 約20.3万円 | 約15.2〜16.2万円 |
| 課長 50歳 | 約22.1万円 | 約16.6〜17.7万円 |
| 全体平均(本府省を含む) | 約26.7万円 | 約20.0〜21.4万円 |
40歳の係長なら、手取りベースで年15万円前後が目安です。月あたりにならすと1万2,000円ほど。もちろん実際には、4月遡及分がまとまって入る12月に大きく偏ります。

「年15万円か、思ったより地味だな」と思った人、ちょっと待って。
これ、何もしなくても毎年入り続ける15万円だよ。しかも俸給表そのものが上がるから、来年以降のボーナスや退職手当の計算基礎にもじわじわ効いてくる。固定費を月1万円削る大変さを知ってる人ほど、この価値は分かるはず。
問題は、放っておくと生活費に溶けて消えるってことです。
9. 増えた分を生活水準に溶かさない「先取り3ステップ」
ここからが本題です。給与改定で一番もったいないのは、**「いつの間にか生活水準が上がって、改定前と貯蓄額が変わらない」**パターン。いわゆる生活水準のインフレです。
これを防ぐ方法は昔から一つで、増えた分を先取りで貯蓄・投資に回す設定を、お金が入る前に済ませておくことです。今回は金額が公式資料で見えているぶん、配分を決めるのはいつもより簡単なはずです。
ステップ1:増えた分の行き先を「率」で決めておく
おすすめは、金額ではなく率で決めておくこと。たとえば「増えた分の70%は先取り、30%は生活の楽しみに回す」のように決めておけば、自分の自治体の改定率が国と多少ずれても、そのまま使えます。
ぼくは「増えた分の7割は自動積立へ・3割は自由枠」と決めています。全額先取りにしないのは、せっかくの昇給を1円も楽しめないとルール自体が続かないから。3割は外食や趣味に罪悪感なく使う。続けられる設計にするのが先取りのコツだと思っています。
ステップ2:新NISAの積立額を「変更するだけ」の状態にしておく
差額の一括支給がある12月に慌てないよう、新NISAの口座と積立設定を先に整えておき、条例改正で金額が確定したあとは金額を増やすだけの状態にしておきます。手取りで年15万円なら、月あたり1万2,000円ほどの上乗せ余地。長期で見ると差は小さくありません。
毎月の積立を20年続けたときの増え方のイメージは『新NISAで毎月3万円・20年積立シミュレーション』で詳しく計算しています。
ステップ3:老後資金枠なら、iDeCoの拡大改正もセットで検討
2026年12月には、公務員のiDeCo拠出上限が月6.2万円へ拡大される改正も控えています。給与改定の反映(12月頃の差額支給)とほぼ同じ時期です。「増えた分は老後資金に固定したい」という人は、給与改定とiDeCo改正をセットの家計イベントとして捉えると設計しやすいです。詳しくは『公務員iDeCo月6.2万円改正の完全ガイド』にまとめています。
増えた分を「老後資金に固定」したい人は、iDeCoの準備を先に
松井証券のiDeCoは運営管理手数料0円(条件なし)で、低コストのインデックスファンドを中心にラインナップ。2026年12月の拠出上限拡大(公務員は月6.2万円へ)を前に、口座だけ先に整えておけば、給与改定が反映されたあと掛金変更だけでスムーズに増額できます。掛金は全額所得控除の対象で、節税効果も見込めます。
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※ iDeCoは原則60歳まで引き出せません。運用成績によっては元本割れの可能性があります。掛金上限・改正内容は2026年8月9日時点の情報で、最新の制度は公式情報でご確認ください。
「待機させる」選択肢も用意しておく
「投資に回すか迷う」「近々使う予定があるかもしれない」分は、無理に投資せず、公務員ならではの共済貯金(組合により年0.5〜1.5%程度)に置いておくのも堅実です。比較は『共済貯金 vs 新NISA【2026年版】』でどうぞ。
- 国の改定率3.51%をそのまま自分の自治体の数字だと思い込んで、先に支出(ローン・大きな買い物)を増やしてしまう
- 12月の差額一括支給を「臨時収入」と捉えて、その場の気分で使い切る
- 新NISAの増額で年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)を超過し、課税口座で買われてしまう
- 生活防衛資金が薄いまま、増えた分を全額投資に回してしまう
- 額面の増加額をそのまま手取りだと思って家計を組んでしまう(税・社会保険料で2〜3割は引かれます)
10. まとめ+これからのスケジュール
最後に要点をまとめます。
- 2026年8月7日、令和8年の人事院勧告が実施されました。官民較差は1万5,056円(3.51%)、行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%
- 較差の内訳は俸給11,179円/広域異動手当2,376円/はね返り分1,501円。人事院は定期昇給分を加えると月収で約4.9%の給与改善としています
- 級別では1級4.0%・2級3.6%・3級3.4%・4級3.1%・5〜10級3.0%。昨年の若年層重点から一転し、今年は中堅層以上を昨年より手厚くしたのが特徴
- 初任給は一律9,500円引き上げ(総合職大卒25万1,500円/一般職大卒24万1,500円/一般職高卒20万9,800円)。再任用職員は行(一)全体の平均改定率8.5%
- ボーナスは年間4.65月分→4.70月分(+0.05月分)。令和8年度は6月期が支給済みのため、12月期のみで調整(期末1.2875月・勤勉1.0875月)
- 月例給・ボーナスとも令和4年から5年連続のプラス。行(一)職員の平均年間給与は**+26.6万円(+3.7%)**
- モデル給与例では、地方機関の40歳係長で年間+20.3万円、50歳課長で+22.1万円。手取りではその75〜80%程度が目安
- 常勤職員の扶養手当・住居手当そのものの改定は今回ありません(非常勤職員向けの指針明記のみ)。一方で転居に関する手当の新設(令和9年4月)と広域異動手当の引き上げ(5%→8%・10%→16%/令和8年4月)は大きな変更点
- 実施は令和8年4月にさかのぼって適用。国家公務員は秋の給与法改正を経て、12月頃に差額を一括支給という流れが通例
- 地方公務員は人事委員会勧告(総務省のフロー図では9月)→11〜12月議会の条例改正→年内の差額支給が一般的。国と同じ改定率になるとは限りません
これからのスケジュールで、押さえておきたいのは3つです。
- 9月ごろ:自分の自治体の人事委員会勧告を確認する(公表時期は自治体により前後します)。国の3.51%と比べてどうかを見る
- 11〜12月:議会で給与条例が改正され、内容が確定。職員団体のお知らせや給与担当からの通知に目を通す
- 12月頃:4月遡及分の差額+冬のボーナスがまとまって入るタイミング。決めておいた配分どおりに淡々と仕分ける
本記事は、2026年8月7日に実施された令和8年人事院勧告の公表資料(勧告・報告、給与勧告のポイント)に基づく確定値で書いています。今後、給与法改正の成立状況などに応じて追記・更新します。

勧告の数字そのものは、ぼくらにはコントロールできない。
でも「増えた分をどう使うか」は100%自分でコントロールできる。今回はモデル給与例という公式の数字があるから、配分を決めるのに「たぶん」がいらない。
12月に振込額を見てから考えるんじゃなくて、いま、器と配分を決めておく。これが公務員ヒロの結論です。
夏ボーナスの配分をまだ決めていない人は『夏ボーナス74万円の賢い使い道比較』、NISA中心に思い切りたい人は『夏ボーナスを新NISA成長枠に全ツッパした理由』もあわせてどうぞ。
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本記事は2026年8月9日時点で公開されている情報をもとに、30代地方公務員の個人視点で整理した情報提供であり、特定の金融商品・サービスの購入や申込を勧誘するものではありません。官民較差、改定率、初任給、ボーナスの支給月数、モデル給与例、諸手当の改定内容および実施時期は、2026年8月7日に実施された令和8年人事院勧告の公表資料(勧告・報告、本年の給与勧告のポイント)に基づいています。勧告は国会および内閣に対して行われるものであり、実際の給与改定は今後の給与法改正の成立をもって確定します。国会審議の状況等により、内容や時期が変わる可能性があります。最新かつ正確な内容は人事院の公式発表をご確認ください。モデル給与例の金額は、俸給、地域手当(地方機関は非支給、本府省は20%)、俸給の特別調整額および本府省業務調整手当を基礎に人事院が算出したもので、扶養手当・住居手当・通勤手当・超過勤務手当等は含まれておらず、実際の年収とは一致しません。手取り増加額の試算は額面増加分の75〜80%という簡易な仮定に基づく目安であり、級・号俸・扶養状況・自治体・共済組合により実際の金額は異なります。地方公務員の給与改定は、各自治体の人事委員会の勧告および議会における条例改正を経て決まるため、改定率・実施時期が国と同一になるとは限りません。人事委員会勧告の時期は総務省が示す手順に基づく一般的な目安であり、実際の公表時期は自治体によって前後します。ご自身の自治体の人事委員会勧告・条例改正・給与担当部署の通知でご確認ください。新NISA・iDeCo等の投資には元本割れのリスクがあり、期待リターンは将来の成果を保証するものではありません。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。共済貯金の利率・規程は所属共済組合ごとに異なります。最終的な判断はご自身の状況を踏まえ、必要に応じて所属の給与担当・共済担当・税務署・FPなど専門家への確認も併せてご検討ください。
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公務員ヒロ
30代地方公務員 / 資産1,000万円超達成(公務員8年目)
「給料だけで資産1,000万円を超えるまでにやったことを、再現性重視で発信中。難しい知識は不要。」